すべてはエクセルの手入力から始まった
大手人材企業から中小企業へ転職して最初に驚いたのは、勤怠管理がエクセルの手入力だったことです。いきなり本格的なシステムを導入するのではなく、まずは「エクセル屋さん」として全部署を回り、壊れた数式や業務課題を一つずつ聞き取るところから始めました。VLOOKUP、INDEX、MATCH、SUMIFといった関数を使った改善を積み重ね、現場の信頼を得ながら、生成AIも活用してマクロ開発に着手していきました。
中小企業のDXが辿る5つの段階
振り返ると、DX推進は次の順序で進めるのが現実的でした。
この順序を無視して、いきなり本格的なシステムから入ると、高コストの「無用の長物」になりがちです。
実際に導入したツールと費用感
| ツール | 用途 | メモ |
|---|---|---|
| HRMOS勤怠 | 勤怠管理 | 過去に導入失敗した経緯があり、浸透まで約1年かけた |
| SmartHR | 人事情報管理 | 遊休契約を活用し、顧問社労士と連携して紙情報を入力 |
| Groupsession | スケジュール・ファイル共有・ワークフロー | 無料(PC)〜100円/年/ユーザー(モバイル)という低コストから着手 |
| CMS | ホームページ管理 | 約100万円で本格導入 |
| kintone | 顧客管理 | 業務に合わせたカスタムアプリを構築 |
| LINE WORKS | 現場の業務連絡 | 現場スタッフとの日常的な連絡手段として導入 |
給与計算業務を引き継いだ際は、月2日かかっていた手入力作業を、HRMOS勤怠からのCSV出力とエクセル連動で自動化しました。この成功体験が社長の関心を引き出し、各部署の予算策定シミュレーション機能の開発にもつながっています。
2つの失敗事例
うまくいった話ばかりではありません。次の2つは、実際に使われなかった失敗例です。
- PowerBI: 分析ツールとしては優秀でしたが、経営層の関心を引き出せず、一度見られただけで終わりました。現場の課題を解決する前に、便利なツールを入れても定着しません。
- Adalo: ノーコードツールとして個人的には有益でしたが、データ容量の増加とともに読み込み時間が膨大化し、現場での本格導入には至りませんでした。
「DX」という言葉が独り歩きしがちですが、本質はエクセルでの試行錯誤から始まる地道な積み重ねです。順序を飛ばすと、高コストの無用の長物が生まれるだけです。
まとめ
DX推進は、いきなり本格システムから入るのではなく、エクセルでの試行錯誤→低コストツール→本格システム→データ活用→競争優位性という順序で進めるのが現実的です。自社が今どの段階にいるのか、一度整理してみることをおすすめします。
